*Only Princess*




はぁっ、と大きなため息を吐いたてった。



「てった、ため息ついたら幸せ逃げちゃう……」


「あぁ? 誰のせいだと思ってんだ」


「……ゴメンナサイ」



すっかり暴走族のてったの顔になっちゃってるよ。


あたしたちを見て苦笑をしていた琉依が、話を逸らしてくれた。




「そういえば、1人? 誰かと会話してたっぽいけど……」


「あ、そうそう。そこに……」



と、振り返ってみたら、さっきのナルシストはいなかった。



「……誰もいないよ?」


「いたんだよ! さっき、ナルシストが!」


「なに、ナルシストって」


「ただの妄想かよ」



司、朝生!

疑いの目で見ないでよ!



「まあまあ、見つかったんだしいいじゃん! 戻ろーぜ?」



本当にいたのにー……。

ま、いいんだけどさ。


真幸の言葉に頷いたみんなは、ぞろぞろとその場から動いていく。



< 229 / 422 >

この作品をシェア

pagetop