*Only Princess*
「……嫌いです。暴走族も、あなたたちも」
みんなの眉がひそまるのを見て少し怯んでしまった。
そのとき初めて航平くんが口を開いた。
「それはなぜか聞いてもいいですか?」
「だって怖いし。意味もなく人を殴るなんて、理解できないし」
その言葉に、もっとみんなの顔が険しくなった。
だけどあたしは口を休めなかった。
立ち上がって、みんなの顔を見回す。
「あたし、てったが白鷹の仲間だってこと、認めませんから!!!」
そう断言して、ダッシュでその場から逃げる。
屋上から出て、その扉に寄りかかる。
ふぅ、と息を吐き冷静になる。
……言ってしまった。言っちゃったよ、あたし!!
勢いよくしゃがみ込み、頭を抱える。
本人たちに嫌いだって言うなんて、想像もしてなかったよ。
最近までまったく関係のない人たちで、関わらないようにしようと心掛けてたんだから。
でもてったは白鷹のメンバーだし、みんなに嫌いって言っちゃったし。
これから波乱の日々が始まるよ、きっと。
平凡な生活の幕が閉じる音が聞こえた気がした────。
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