*Only Princess*




「……よっしゃ、じゃーみんなで花火するかー!」



真幸の明るい声に、おぉー!と乗った。


ぞろぞろとバルコニーを出て、庭園に向かう。



その途中、航平がすっとあたしの隣にやってきた。



「……琉依のこと、ありがとうございます」


「ううん、あたしは何にもしてないよ」


「いえ。菜生の言葉で、琉依は救われたと思います」


「そうかなぁ? なら、よかった」



あたしは、ただ思ったことをそのままに言っただけ。



「おかげで、僕も救われました」



そっか、航平も琉依のことで頭を悩ませていたよね。



「直接僕にじゃなかったのは少し残念ですが、琉依の本音が聞けて、嬉しかったですし」


「ふふ。あたしに嫉妬してるー?」


「……少しだけ」



あたしたちは顔を見合わせて笑った。


その笑顔は、どこかスッキリして清々しかった。



< 258 / 422 >

この作品をシェア

pagetop