*Only Princess*
「……よっしゃ、じゃーみんなで花火するかー!」
真幸の明るい声に、おぉー!と乗った。
ぞろぞろとバルコニーを出て、庭園に向かう。
その途中、航平がすっとあたしの隣にやってきた。
「……琉依のこと、ありがとうございます」
「ううん、あたしは何にもしてないよ」
「いえ。菜生の言葉で、琉依は救われたと思います」
「そうかなぁ? なら、よかった」
あたしは、ただ思ったことをそのままに言っただけ。
「おかげで、僕も救われました」
そっか、航平も琉依のことで頭を悩ませていたよね。
「直接僕にじゃなかったのは少し残念ですが、琉依の本音が聞けて、嬉しかったですし」
「ふふ。あたしに嫉妬してるー?」
「……少しだけ」
あたしたちは顔を見合わせて笑った。
その笑顔は、どこかスッキリして清々しかった。