*Only Princess*
肌を突き刺すほどの冷たい空気。
でも気持ちがピリッとなって、嫌いじゃない。
葉が落ち、ほぼ裸になっている木々。
もう、冬なんだなぁ。
ぼーっと景色を眺めていると、後ろから声が聞こえた。
「起きてたのか」
「あ、てった。おはよ」
「はよ」
あたしの隣に並ぶてった。
まだ寝起きの顔で、寝ぐせもついていつもより跳ねている髪。
「寒ぃだろ」
そう言って、肩に毛布をかけてくれた。
「あ、ありがと……」
……あったかい。
それからは、何を話すわけでもない。
ただ景色を眺めていた。
……ううん、景色なんて見てなかった。
隣にいる、てったのことを意識しちゃって、それどころじゃないよ。