*Only Princess*
てったの手があたしの頬に触れた瞬間。
う~ん、とみんなが起きる声がして、すっと手が離れた。
同時にさっきまでできていた世界が消える。
「あ、てったと菜生、もう起きてたんだ」
「……ああ」
何もなかったかのようにみんなの元へ向かっていくてった。
あたしは1人、ベランダに取り残される。
心臓は暴れたまま、顔は赤いまま。
……なに? 今の。
てったの触れた部分が熱い。
ねえ。どうしてあたしに触れたの……?
今、何を言おうとしたの……?
知りたい。
てったの心情が、知りたいよ──。