*Only Princess*
てったに掴まる力を強める。
「うへへ」
「うわ、キモい声で笑うなよ」
「ひどくない!?」
仕返しにお腹の肉つまんでやる!
……って思ったけど、ちゃんと引き締まってて掴むどころか固かった。
ちぇっ。ちゃんと鍛えられてるし!
諦めて再びぐっと身を寄せた。
「……あのね、心配しなくてもあたし、白鷹の傍から……てったの傍から離れたりしないよ?」
「菜生……」
「てか、むしろ離れろって言われても一緒にいるから! しつこいって思うくらい、くっついていくから!」
「ぷっ……はは」
あたしの言葉に吹き出したてった。
そして、片方の手をてったの腰に回る手に重ねた。
「わかってるよ。つか、離れるとか許さねーし」
「うんっ……」
あの日、あたしは誓った。
みんなの傍にいて、支えるって。
ときに、あたしが助けられることも多いけど……でも、あたしがみんなのためにできることはあるはずだから。
だから傍にいるよ。
そして、あたしが傍にいたい。
「……嫌な予感がするな。何も起こらなきゃいーけど……」
そう小さく呟いたてったの声は、あたしの耳に届かなかった。