*Only Princess*




一方白鷹が去ったホテル前では、未だ朱雀がいた。


白鷹が視界からいなくなったのを確認した2人の男が、黒髪の男をからかう。



「ぷぷ。断られてやんのー」


「……変人は変人を好きになるんだな」


「うっせ! てめーら黙れ!」



うぜーヤツらだ、腹立つな、と2人への文句に加え。

「なんでだ? なんで俺が断られた?」
と頭を抱えてぶつぶつ呟き始めた。


その光景は、2人にはとても滑稽なものだった。



「なあ、なんでだと思う? 確かに白鷹は顔がいいヤツ揃いだが、それは俺たちだって負けてない」


「まあね」「そうだな」



否定はしない。


だって本当のことだし。



「で、諦めるの?」


「……いーや、諦めねぇよ。俺様に嫌っていうほど惚れさせて、朱雀に入れてやる」



不敵な笑みを浮かべ、白鷹が去った方向を見つめる。



「じゃ、それに賛同するかー」


「俺らの総長が決めたことだからな」


「ふん。覚悟しとけよ、白鷹。そして、高村菜生───」



それは、新たな幕開け。


白鷹と菜生の邪魔をするものが現れ、引き剥がそうとする。


白鷹VS朱雀。

2つの族が1人の姫を取り合うものだった。


さあ、どうなるのか。


大きな不穏の波が、2つの族を襲おうとしていた────。







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