*Only Princess*
校舎には、生徒の楽しそうな笑い声。
グランドから聞こえる、野球部やサッカー部の威勢のいいかけ声。
本来なら静かな図書室が、勉強を教える声で騒がしかった。
「菜生は英語が特に苦手なんだよな」
「はい……」
「英語は司と琉依が得意だから、2人に教えてもらえ」
「わかりました……」
あたしが頷いたのを見て、てったは数学に頭を抱える真幸のほうに向かった。
あたしの右隣に琉依、目の前には司が座る。
うわ、司は毒舌だから嫌だな〜なんて言えない。
しかも最近は琉依の優しげな笑顔が怖いときがあるし。
黒いっていうか……これも言えないけど。
キレられないように、少しでも頑張ろう。