*Only Princess*




ほくそ笑んでる場合じゃない。


早く学校から出ないと、脱出したことがバレて連れ戻される。


補講にならないように頑張ろうとは思うけど、いきなりこんな勉強したら頭パンクしちゃうよ。


だからみんなごめん!

今日は帰らせて!


順調に校舎を出て、ちらっと図書室の窓のほうを見る。


すると……あ!やばい!
司と目が合った!


司は目を見開き、何かを叫んでいる。


そしてみんなも窓の外を覗きに来て、目を見開いていた。


「ごめん!」というポーズをして、あたしは駆け出した。


みんな、こっちに向かって来るはず!


もう勉強は嫌なんだよー!


走ることに夢中で、校門の前にいる人たちに気づかなかった。


ドンッとぶつかり、勢いよく「ごめんなさいっ!」と謝ってから、再び駆け出そうとしたそのとき。


ぶつかった相手があたしの腕を掴んだ。



「おい、ちょっと待て。菜生」


「え?」



名前を呼ばれて、顔を上げると……その人たちは朱雀だった。



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