*Only Princess*
しばらく大人しくしていると、バイクが動きを止めた。
着いたのは、おそらく朱雀の倉庫。
周りを見渡しても、ここがどこかなんてわからない。
でも、この前泊まったホテルの近くなのかな。
割と自然が多い。
いや、そんなことより。
「……早く帰して」
「あぁ?」
「早く白鷹のところに帰してよ!」
そう言ったけど、朱雀はふっと笑った。
その笑みは決して悪いものではなく、安心するようなものだった。
「心配しなくても、変なことはしねーよ。ただ、話したいと思っただけだ」
言ってることは、顔を見れば本当だとわかる。
でもだからってわざわざここまで来なくても……。
「あいつらが傍にいたら、近づくことさえも許されないからな」
「うーん、まあ確かに」
朱雀があたしを姫にしたいと言ってから、白鷹はあまり朱雀をよく思っていないようだった。
確かに遠ざけようとはしていたかも。
でも、あたしのことは諦めるって言ってたのに。