*Only Princess*




しばらく大人しくしていると、バイクが動きを止めた。


着いたのは、おそらく朱雀の倉庫。


周りを見渡しても、ここがどこかなんてわからない。


でも、この前泊まったホテルの近くなのかな。


割と自然が多い。


いや、そんなことより。



「……早く帰して」


「あぁ?」


「早く白鷹のところに帰してよ!」



そう言ったけど、朱雀はふっと笑った。


その笑みは決して悪いものではなく、安心するようなものだった。



「心配しなくても、変なことはしねーよ。ただ、話したいと思っただけだ」



言ってることは、顔を見れば本当だとわかる。


でもだからってわざわざここまで来なくても……。



「あいつらが傍にいたら、近づくことさえも許されないからな」


「うーん、まあ確かに」



朱雀があたしを姫にしたいと言ってから、白鷹はあまり朱雀をよく思っていないようだった。


確かに遠ざけようとはしていたかも。


でも、あたしのことは諦めるって言ってたのに。



< 295 / 422 >

この作品をシェア

pagetop