*Only Princess*
「じゃあ逆に聞くけど、なんであたしなの? その、ほ、惚れたって言ってたけど、そんなとき全然なかったよね?」
ずっと不思議に思ってた。
そもそもなんであたしを朱雀の姫にしたいって思ったんだろう。
女の子なら他にたくさんいるのに。
するとやつはふっと笑い、語り始めた。
「俺様の美貌は罪深いものだ。昔からモテていて、色目を使う女がほとんどで、なんでも俺の言うことを聞く。だいたいのことは思い通りだったな」
「あっ…そう」
なんかムカつくな。
なんなの? 自慢ですか。
でも否定できないのが悔しい。
「しかし! お前と出会った! 俺の言ったことに言い返してくるし、俺が誘ったのに朱雀の姫を断った。こんなに上手くいかないのは初めてだ」
「今までどんだけ甘やかされてきたの」
「めちゃくちゃムカついた。なんで菜生だけは思い通りに動いてくれなんだろうって。ムカついたから……どうしても手に入れたくなった」
「えっ……」
「最初に気に入った程度だったけど、今は違う。本気だ。この前誘ったとき以上に、朱雀の姫にしたいと思っている」