*Only Princess*
「ちなみに俺は桃太郎だから。よろしくな、お猿さん」
笑みを含んだ顔でポンポンとあたしの頭に手を置くてった。
そのてったの笑顔と仕草にキュンッて……してる場合じゃなーい!!!
てったが桃太郎?
てことはあたし、てったにきびだんご渡されて鬼退治にお供するんだよね?
うわー、嫌だ!
まあ、琉依くんたちよりは全然いいんだけどね。
納得いかない!
それからあたしは頬を膨らませながらも、美紗とてったと昇降口に行き、あたしの家と反対側の美紗と別れる。
あたしも帰ろうと思い、1歩踏み出したとき。
「お待たせ、てった。あれ、菜生も待っててくれたんだ」
げっ。来ちまった、あの4人が。
「あたしは待ってたわけじゃないの! てったと話してただけなの!」
「あはは……そうか」
苦笑いする琉依くん。
そう、あたしはみんなを待ってたわけじゃない。
なのに、なぜか一緒に帰っていた。
いや、違う。
あたしがスタスタ歩くのに、みんなが着いてくるの。