*Only Princess*




「でも……俺も、菜生が幼なじみでよかったよ。また会えてよかった」


「っ……!」



なんて嬉しい言葉。


指の隙間から見えた表情。


照れながらも優しげに微笑んで、そして甘い。


これは恥ずかしい。


でも……同じ気持ちだったことが、何より嬉しい。


てったには感謝すべきことがたくさんあるんだ。


それはまたいつか、あたしの想いを伝えるときにでも言えたらいいな。


いつか、言えますように。



手が離れて視線が交じって、あたしたちはどちらともなく”ぷっ”と吹き出した。



「あはは。どうしちゃったんだろうね、あたしたち。急にこんな照れくさいこと言い合っちゃってさ」


「ふっ……なんでだろうな」



恥ずかしいけど、幸せな時間。


あたしは本当に、幸せ者なんだね。





しかしその数時間後、あたしと白鷹の距離ができてしまうことになるのだった。



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