*Only Princess*
「さっきね、お母さんからおつかい頼まれちゃって。まったく、人使い荒いよねー」
「まあ、ちょっとは手伝ってやれよ、おばさんのこと」
「わ、わかってるよぅ」
「スーパーのとこで下ろそっか? 菜生の家の近くの」
「うん、お願いします」
バイクが走り出すと、あっという間にスーパーについてしまった。
「ありがと、送ってくれて」
「俺も買い物付き合おうか?」
「そんな、悪いよ。このあともまた倉庫に戻るんでしょ?」
「そうだけど、こっから家まで何もないとは限らねーだろ」
「大丈夫大丈夫! だってまだ5時半でしょ? 暗くなってきたけど、さすがにこの時間は大丈夫だよ」
「そうか……? じゃ、気をつけろよ」
心配そうな顔をしていたてっただけど、最後は頷いてくれた。
心配してくれるのは嬉しいけど、そんな迷惑かけられないしね。
自分でなんとかなるときは、自分でなんとかする!
そう決めてるから。
あたしがてったを大事に思ってるように、てったもあたしのこと大事に思ってくれてるんだなぁ。
あたしは頬を緩ませて、バイクに乗って遠くなっていくてったの後ろ姿を見送った。