*Only Princess*
答えを必死に探すけど、見つからない。
あたしは黙りこくってしまった。
「俺はそれが聞けるまで、引く気はねぇから。納得のいく答えがほしい」
タカトがそう言うのも当たり前だろう。
普通ならそう思う。
そしてあたしはそれを受け入れ、その答えを早く探すべきだ。
だけど……今のあたしは、いっぱいいっぱいでそれどころじゃなかった。
早く断らなきゃ。
早く諦めてもらわなきゃ。
じゃないと今度こそ白鷹に、てったに愛想つかされる。
もう時間がない。
そう思って、自分に余裕がなかった。
「お願い、もう諦めて……!」
あたしの心の奥に潜んでいた黒い気持ちが、言葉になる。
「はっきり言って迷惑だよ! そんな詰め寄ってきて、朱雀に入るわけないじゃん!」
「菜生……」
「もう近づかないでっ……!」
あたしに向かって伸ばしてきたタカトの手を思いっきり振り払い、走り出す。
朱雀を振り払うように、全力で。
もう朱雀には関わらないようにしたい。
いつまでも曖昧な態度をとっているからダメなんだ。
今日でもう、朱雀に会うのは最後……。