*Only Princess*




「ぶっ。いや、だって笑うしかないだろ……ははっ」


「菜生なら似合うと思いますよ。……ふっ」


「ぷっ……ウケる。てったたちの劇、絶対に観に行きたい」


「あはは。じゃあみんなで観に行こうか」


「来なくていい! 来ないで、お願いだから!」



あたしだって好きで猿役になったわけじゃないから!


てゆーか。

真幸くん笑いすぎだし、航平くんなんだかんだで一番傷口えぐってくるし、司くんバカにしてくるし、琉依くん楽しんでるし……


みんなひどい!

もっと嫌いになったわ!


さっきてったもバカにしてきたけどさ、てったもてったで恥ずかしい役だよね?


だって、桃から生まれるところとかどうするの?


そのまま出てきたらあたし笑うよ?



みんなの笑いが収まるまで、あたしとてったは黙っていた。


しばらくしてみんなが静かになった頃、昔の記憶が宿ってきた。



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