*Only Princess*




そう思ったとき、俺のスマホが震え出した。


それにすばやく反応するみんな。


表示を見ると……菜生だ!


みんなと目を合わせて頷いてから、俺は通話ボタンを押した。



「菜生? お前、大丈夫なのか? 何ともないのか?」



気持ちが焦って一方的に話しかける。


でも電話越しに聞こえたのは、菜生の声じゃなかった。




『てったくん……? あ、私菜生の母です』


「え、あ……お久しぶりです」



菜生の母さん?


なんで菜生の母さんが菜生のスマホから俺に電話を……?




『いきなり菜生のスマホから電話しちゃってごめんね。私から言っておきたいことがあって』



な、んだ?

言っておきたいことって。


思わず身構えてしまう。




『落ち着いて聞いてほしいんだけど……実は菜生、事故に巻き込まれちゃって』


「はっ、事故!?」



衝撃で、聞き返す。


みんなも「事故って!?」「菜生は無事なのかよ!?」と詰め寄ってくる。



どういうことだよ、事故っていつ……?


いや、そんなことより菜生は大丈夫なのか?




『あ、心配しないで。幸い擦り傷だけだから。ただショックで昨日入院してたのよ』


「そ、そうなんすか……」



そう言われても、姿を見るまで心配だ。



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