*Only Princess*
「月島さーん、リハビリのお時間ですよー」
「あ、はい」
車椅子に乗り、看護士さんに連れられていくタカト。
病室を出る前に、あたしを振り返って。
「菜生、暗くならないうちに帰れよ。リクかソウにでも送ってもらえ」
「うん……わかった」
タカトがいなくなった病室、それは静かなものだった。
そもそもリクとソウは喋るほうじゃないし、あたしもまだそんなに仲良くない。
事故のことで気まずいっていうのが1番大きいけど……。
「……ねえっ。2人はタカトの足のケガの詳しい状況、知ってるの? タカト、何も言わないからよくわからなくて……」
「あー、タカトはねぇ〜」
「おい、言わないほうがいいんじゃないか?」
え、何か知ってるの?
なんであたしに言ってくれないの?
あたし、完璧関係してるじゃん。