*Only Princess*




「月島さーん、リハビリのお時間ですよー」


「あ、はい」



車椅子に乗り、看護士さんに連れられていくタカト。


病室を出る前に、あたしを振り返って。



「菜生、暗くならないうちに帰れよ。リクかソウにでも送ってもらえ」


「うん……わかった」



タカトがいなくなった病室、それは静かなものだった。


そもそもリクとソウは喋るほうじゃないし、あたしもまだそんなに仲良くない。


事故のことで気まずいっていうのが1番大きいけど……。



「……ねえっ。2人はタカトの足のケガの詳しい状況、知ってるの? タカト、何も言わないからよくわからなくて……」


「あー、タカトはねぇ〜」


「おい、言わないほうがいいんじゃないか?」



え、何か知ってるの?

なんであたしに言ってくれないの?


あたし、完璧関係してるじゃん。



< 355 / 422 >

この作品をシェア

pagetop