*Only Princess*




「……リハビリ、順調だね」


「なかなか厳しいすけどね」


「このままリハビリを続けていけば2週間後には退院できるよ」


「あ、マジすか」


「うん。なかなかいないよ、このレベルの複雑骨折で1ヶ月で退院できるの」



──え。

今なんて言った?


”複雑骨折”?



「はは。まあ体は丈夫っすからね」


「そうだね。何かスポーツでもしてるの?」


「え、いやぁ……はは」



頭の中が痺れたように麻痺している。


魔法で化石にされたような衝撃。


全身は動いていくれなかったけど、唇だけは動いてくれた。



「……な、んで」



かすれて、とても小さな声。


だけどタカトには届いたみたいだった。


後ろを振り返りあたしの姿を見たタカトの表情は、驚きに満ちていた。


そして狼狽し、目を逸らしたり合わせたり。


その反応を見て、今の話の内容は本当なんだ、と冷静に判断する自分がいた。


でも心は冷静じゃなかった。



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