*Only Princess*
「みんなの一生懸命生きてきた証を、そんなことに使わないで!」
あたしはみんながどんな人生を送ってきたか、全部は知らない。
てったや琉依の過去は聞いたけど、あたしの知ってるものはごく一部だろう。
まだまだ知らないことばかり。
だけど、一生懸命生きてきたことはわかる。
辛い過去を乗り越えて、現在(いま)がある。
ちゃんと居場所がある。
だからこそ、みんなの過去を汚いやり方で利用するのは許せない。
「……ハハッ。やっぱり菜生は白鷹が好きなんだなあ……」
”当たり前じゃん”という言葉は飲み込んだ。
乾いた笑いをスッと消したタカトとまっすぐ目が合う。
「じゃあ、自分がどうするべきかわかってるよな?」
「……っ。わかってるよ」