*Only Princess*
*
数日後。
自分の部屋のベッドに寝転がり、あたしは宙をぼーっと眺めていた。
そして机の引き出しを開けようか迷って、やめる。
机の引き出しには、白鷹の証のピアスが入っている。
外したはいいけど、どうしても処分することはできなくて引き出しの奥に眠っている。
──プルルル……プルルル……
スマホが震え、あたしは表示を見ないで電話に出た。
「もしもし」
『あ、菜生。私』
「美紗……?」
電話をかけてきたのは美紗だった。
美紗とは用がなくてもしょっちゅう電話するし、今日かけてきたのも珍しいことではない。
でも冷静に考えて、もし相手がてったとかだったらヤバいよね。
今回は美紗だったからいいけど、今度からはちゃんと表示を見なきゃ。