*Only Princess*









文化祭の準備に追われる日々。


放課後やLHRの時間を使って文化祭の準備を着々と進めていた。


あたしは台本の読み合わせより、装飾を作るほうに徹していた。


どーせ猿役だし、セリフもあんまりないからね。


あーあ。猿役、イヤだなぁー。


今さら何言っても無駄なんだけどさ。




「菜生ー! ダンボール持ってきてくれなーい? 昇降口にあるはずだから!」


「おっけー! 持ってくるねー」



クラスの子に指示されて昇降口に向かう。


早く持っていこう、と思い廊下を駆け足でいると、曲がり角でドンッと誰かにぶつかった。



「いたたた。ごめんなさ……あ、」


「あれ、菜生じゃん」



ぶつかった相手は真幸くんだった。


その後ろからひょこっと顔を覗かせたのは司くん。


なんでこの人たちとぶつかってしまうんだ、まったく。


てゆーか。



「なにその格好」



真幸くんは吸血鬼、司くんは化け猫の格好をしていた。



「あ、これ? これはお化け屋敷の衣装!」


「見ればわかるでしょー? バカなの?」



ああ、お化け屋敷の衣装か。納得。


……って。バカなのってひどすぎでしょ!


本当、司くんって見た目に似合わず毒舌だよね。



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