*Only Princess*
*
文化祭の準備に追われる日々。
放課後やLHRの時間を使って文化祭の準備を着々と進めていた。
あたしは台本の読み合わせより、装飾を作るほうに徹していた。
どーせ猿役だし、セリフもあんまりないからね。
あーあ。猿役、イヤだなぁー。
今さら何言っても無駄なんだけどさ。
「菜生ー! ダンボール持ってきてくれなーい? 昇降口にあるはずだから!」
「おっけー! 持ってくるねー」
クラスの子に指示されて昇降口に向かう。
早く持っていこう、と思い廊下を駆け足でいると、曲がり角でドンッと誰かにぶつかった。
「いたたた。ごめんなさ……あ、」
「あれ、菜生じゃん」
ぶつかった相手は真幸くんだった。
その後ろからひょこっと顔を覗かせたのは司くん。
なんでこの人たちとぶつかってしまうんだ、まったく。
てゆーか。
「なにその格好」
真幸くんは吸血鬼、司くんは化け猫の格好をしていた。
「あ、これ? これはお化け屋敷の衣装!」
「見ればわかるでしょー? バカなの?」
ああ、お化け屋敷の衣装か。納得。
……って。バカなのってひどすぎでしょ!
本当、司くんって見た目に似合わず毒舌だよね。