*Only Princess*




「朱雀のこととか、俺らの過去のこととか無視して、菜生の本心で答えてくれ。──菜生は俺らと一緒にいたいか?」


「っ……」



てったの質問に、”もちろん”と答えたかった。


でも今は頭の中がごちゃごちゃになって答えていいのかわからない。


きっと、みんなそれをわかってくれているだろう。




「……菜生。俺たちは3日後のクリスマスの日、朱雀に戦いを挑む。もちろん、菜生を返してもらうための。だからその日……今の返事を聞かせて」



琉依がそう言い、みんなが立ち去る気配がした。





3日後のクリスマスの日、白鷹と朱雀が戦う。

……あたしを巡って。


そう思うと少し怖かった。



でも。

もう逃げたくない。


白鷹にも朱雀にも、本音でぶつかりたい。



そして答えたいよ。

”みんなと一緒にいたい”って。



あたしも前に進まなきゃ。


あたしは涙を拭って、立ち上がった。







・:
+°

・:
+°

・:
+°
< 387 / 422 >

この作品をシェア

pagetop