*Only Princess*




その考えが浮かび上がったとき、焦ったようにキョロキョロと辺りを見ながら走る看護師さんを見つけた。


あたしは慌てて引き止めた。



「あのっ、もしかしてタカト、いないんですか!?」


「そうなんです、院内のどこにもいなくて……!」


「そんなっ……!」



なんで……?

タカト、何してるのよ!



「外にいるかもしれないってことですよね?」


「その可能性が高いです。松葉杖だし、そんなに遠くには行けないと思うんですけど……」


「あたし、探してきます!」



駆け出し、病院を飛び出した。


松葉杖で動けるとしても、まだ入院期間なのに……

どこ行ったのよ!




「タカトのばかっ!!」



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