*Only Princess*
『あ、菜生まで笑うなよ〜。なんなら菜生が遊び相手になってくれてもいいんだぞっ』
『ばかっ』
『いってぇ! おまっ、ビンタすることねーだろ!』
『ぶっ』
『ははっ。さすが菜生だな』
『いたそー』
あたしのいる未来……か。
思い出すことは簡単だけど、未来を思い浮かべるのは難しい。
瞑っていた目は、どこからか聞こえた声で開かれた。
何を話しているかわからない。
だけど誰かが声を荒らげているのはわかる。
これは幹部室から聞こえてくる。
タカト……?
何を話しているんだろう?
そんなに揉めること?
行っちゃダメなのはわかってる。わかってるけど……足は進んでしまう。
そしてドアに耳をくっつけて盗み聞きしてしまった。