*Only Princess*




グッと拳を握りしめたとき。


───ブォンブォンブォオオン

多くのバイクの音。


あたしはハッとして時計を見た。


今は4時。思ったより早い。


思わず幹部室に入ってしまい、3人の隣に行き同じように窓の外を見る。


……いる。

白い景色の中、みんながいる。


5人が自慢していた鷹のバイクを横に、先頭に堂々と。


てったと目が合った気がした。


ビクッと肩を揺らしたあたしだけど、目は逸らせなかった。


てったはニッと笑い、視線を敵に向けた。



あたしの心臓は高鳴っている。


久しぶりに目が合った。


だってあたし、避けていたんだもん。


無意識に、胸に手を当てる。


速く脈打つ鼓動。

心の隅に追いやっていたこの恋心。


でも消えるわけなかった。

忘れられるわけない。


今すぐにでもてったの傍に行きたいよ。



< 401 / 422 >

この作品をシェア

pagetop