*Only Princess*
グッと拳を握りしめたとき。
───ブォンブォンブォオオン
多くのバイクの音。
あたしはハッとして時計を見た。
今は4時。思ったより早い。
思わず幹部室に入ってしまい、3人の隣に行き同じように窓の外を見る。
……いる。
白い景色の中、みんながいる。
5人が自慢していた鷹のバイクを横に、先頭に堂々と。
てったと目が合った気がした。
ビクッと肩を揺らしたあたしだけど、目は逸らせなかった。
てったはニッと笑い、視線を敵に向けた。
あたしの心臓は高鳴っている。
久しぶりに目が合った。
だってあたし、避けていたんだもん。
無意識に、胸に手を当てる。
速く脈打つ鼓動。
心の隅に追いやっていたこの恋心。
でも消えるわけなかった。
忘れられるわけない。
今すぐにでもてったの傍に行きたいよ。