*Only Princess*
そうだよね、と頷いた美紗はまた尋ねてきた。
「じゃあもう一つ。菜生は、まだ白鷹のことが嫌い?」
「……嫌い」
「本当に?」
「……うん」
即答できなかった。
なんであたし迷ってるの?
「私は菜生が白鷹のこと、嫌ってるように見えないな」
「……嫌いだよ! 暴走族なんて」
「菜生が言ってるのは暴走族のことでしょ? 白鷹のことは? 暴走族って一括りにしないで、白鷹のことは嫌いなの?」
暴走族じゃなくて、白鷹のこと……?
あたしはみんなの顔を思い出した。
白鷹はあたしのイメージする暴走族とはかけ離れていて。
いい人で個性が強くて面白くて、一緒にいるとついつい笑っちゃって。
あたしが何回嫌いって言っても、嫌な顔一つしなかった。
それどころか笑いかけてくれるの。
そんな人たち、他にいるかな?
考えて考えて考えて。
絞り出した答えは。
「あたしは……白鷹のこと、嫌いじゃない」