*Only Princess*
「てった! てっただよね!?」
「え、ちょっ……菜生!?」
あたしは嬉しさのあまり立ち上がり、前にどんどん進んでいく。
途中で美紗の引き止める声が聞こえたけど、ごめん!無視する!
てったの手を握り、ぶんぶん振った。
最初はそんなあたしを怪訝そうな顔で見てたが、あたしだと気づいたのかハッとした表情になって。
「菜生……?」
と呟いた。
一瞬忘れられたかと不安になったけど、覚えててくれて嬉しさで胸がいっぱいになった。
そのときのあたしの顔は、きっと満面の笑みだっただろう。
「そう、菜生だよ! 久しぶりだねっ」
「あ、ああ……久しぶり」
あたしの勢いに、ちょっと引いてる様子のてった。
だけどあたしは久しぶりにてったに会えた嬉しさを、抑えることはできなかった。
クラスのみんなも、先生ですらも驚いている。
しばらくして先生が声をかけてきた。
「え、えーっと。お前ら、知り合いなのか?」
「はいっ。幼なじみなんです!」
「そうだったのか……。あ、じゃあ霧山の席は高村の後ろな」
「やったー!」
なんとラッキーな!
後ろがてったなんて、嬉しい。