*Only Princess*




そして初めて誰かに過去に何があったのかを話した。


それを話すのにやっぱり少しは躊躇したけど、話すのに時間はかからなかった。


話し終わったあと、みんなの顔を見て驚いた。


だってみんなが、泣いていたから。




「な、なんでお前らが泣くんだよ」


「苦労してきたんだなって……そう思って……っ」



……意味わかんねぇ。


だけどボロボロと涙をこぼすみんなを見たら、いつの間にか頬が緩んでいた。


俺にはこんなに想ってくれている仲間がいる。


そう思ったら心にあった悩みの塊がすっと溶けていくように、過去のことなんてどうでもよくなった。


一緒にバイクで街を駆け抜けたり、協力して絡んできた不良を倒したり。


普通の中学生や高校生の生活とはかけ離れていたかもしれない。


道を外していたかもしれない。


だけど俺にとってはすごく充実した生活だった。



────俺は白鷹のやつらと一緒にいれるだけで、十分だ。







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