*Only Princess*
それにしても、てったには辛いことがありすぎた。
離婚していたなんて。
おばさん、亡くなっていたなんて。
おばさんとはあんまり会ったことがないけど、穏やかで優しい雰囲気の人だったのを覚えている。
亡くなったという現実を聞いて、やっぱりショックを受ける。
「てったは、もう辛くないの……?」
真っ直ぐにてったの瞳を見つめる。
すると一瞬だけ、揺れた気がした。
「……辛くない、って言ったらウソになるな。たまに父さ……いや、あいつにつけられた傷の跡が疼いたりする」
正直にそう言ってくれた。
「でも、へーきだ。こいつらもいるし、何より……菜生がいるから」
「へっ? あたし?」
「ああ。菜生は昔、ずっと助けてくれただろ? それは今も変わらない。俺がキケンな目に遭うと思って、白鷹から抜けさせようとしてたんだもんな」
「そ、それはそうだけど……」
「ありがとな。いつも俺を助けてくれて」