*Only Princess*
鼻歌混じりで自分の席に戻る。
それに続きてったもあたしの後ろの席に座った。
「菜生、もしかして霧山くんって例の……」
「そうそう」
美紗にはてったのことは話したことがあった。
「こんなに嬉しそうな菜生を見たの、初めてかもしれない」
「ふふっ」
チラッと後ろのてったを盗み見する。
あたしと同じ茶髪で猫っ毛なとこ、クールで無愛想なとこ、全然変わってない。
だけど。
小学生のときには変わらなかった身長が、今では頭1個分くらい違った。
それに、耳に光る鷹がモチーフになったピアス。
あたしはそれが気になってしょうがない。
ちょっとチャラくなっちゃったのかな……?
ううん、それだけじゃない気がする。
なぜだかそれを見て、胸騒ぎがした。