*Only Princess*




制服に着替え終わったあたしは、てったに家まで送ってもらうことになった。


手を振るみんなに振り返して、倉庫を出るてったについていく。



「菜生ってバイク乗れんの?」


「わかんない。あたし乗ったことないもん」


「そっか。後ろ乗ってみるか?」


「乗ってみたい!」



わーい!という勢いで、あたしはバイクの後ろに乗ろうとしたけど、高くて上手く乗れない。


するとすっと手を差し出され、乗るのを支えてくれた。



「あ、ありがと」


「おう」



ヘルメットを被らされ、てったもバイクに乗る。


バイク乗るの初めて。


ちょっとドキドキするけど、大丈夫だよね。



「じゃ、出発するぞ」


「あ、うん。安全運転でお願いします」


「わかってます」



走り出すバイク。


安全運転とはいえ、自転車とは格段に違う速さだ。


思わずてったの腰に手を回す。



どーしよ。抱きついちゃってる。


恥ずかしー……けど、掴まらずにはいられないよね。


いろんな意味でドキドキする。


ビュンビュン風が顔に当たるおかげで、熱くなる頬の熱が少し下がった。



< 90 / 422 >

この作品をシェア

pagetop