*Only Princess*




5時の鐘が鳴り、子どもたちが急いで家に帰っていく。


浅葱色に染まる空の下、てったとあたしを乗せたバイクが駆け抜ける。


猫っ毛の茶髪が、ヘルメットの下で揺れていた。




「そういえばさー」


「んー?」



バイク音に負けないくらい大きな声で話しかける。



「みんなは学校にバイクで行ってないよねー?」


「あぁー。最近センコーに注意されたばっかだからなー。いつもはバイクだけどなー」


「え、なにそれー。真面目じゃん」



先生に注意されたからって、それを守るんだ。


確かにうちの学校は不良校ってわけじゃないから、校則は割とあるけど。


ちゃんと守るなんて、なんか白鷹らしい。

そう思って、笑みがこぼれた。




「着いたぞ」



気づいたときには家に着いていた。


家の場所、覚えててくれたんだ。なんてちょっと嬉しくなる。


ひょいっとバイクからおり、ヘルメットを取る。



「送ってくれてありがと!」


「おう」



じゃあね、と言おうとしたとき、家のドアが開いた。



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