あの頃の私


「俺たち、もう一度やり直せないか」

え……。

背の高い彼の言葉が頭上から降ってきた。

なんで今頃言うのよ。
なんでよ。


「……それ、私が地元に帰る時にききたかったな」

私の声は自分でもわかるくらい震えていた。

幸せだって言ってやりたかったのに。
なんで今頃そんなこと言うのよ。


ゆっくりと顔を上げる。

絶対に泣かない。
泣くもんか。


「あの時帰るなって言ってくれるの、本当は待ってたんだよ」

「………」

「私ね、来年結婚するの」



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