シグナル
まずダリルが洞窟の左へと進路をとる。
しかしその方角は、
当初テリーたちが向かおうとしていた町とは大きく違っていた。
更にその先は上り坂となっており、
徐々に傾斜がきつくなっていく。
次第に彼等の息づかいが荒くなっていき、
再度傾斜の緩やかになった坂道を登り切ると、
そこは巨大な岩が点在する、
荒れ果てた荒野となっていた。
立ち止まりまわりを見渡す武彦。
遙か前方には緑が広がり、
その更に前方には、
大きな森が広がっていた。
「あそこに森が見えるだろ?
あの森を抜けると我々の村だ!」
テリーの言葉に頷く武彦だが。
彼の視力では森がどこにあるか分からず、
ただの緑地にしか見えなかった。
「行こうか、
もうすぐ仲間達に会えるぞ!」
テリーを先頭に、
先を急ぐ十四人の仲間達。
何もない荒れ果てた荒野を、
ひとつの目標めざし、
ただひたすら前へと歩き続ける彼等、
だがこんな時にはなかなか進まないもので、
どんなに歩いても、
村までの距離がなかなか縮まらない、
彼等の中でそんな思いが募っていた。
それでも徐々にではあるが、
距離は縮まっていった。