シグナル

その後岡嶋は何度か坂田家を訪ねたが、

何時訪ねても武彦に会わせて貰えなかった。


そして最初に坂田家を訪ねた日から三ヶ月か経とうとするこの日、

岡嶋が再び坂田家を訪れた。


そして岡嶋がインターホンを押すと間もなく中から返事が来たが、

あらかじめモニターにより外の人物を確認済みの美智代は、

ひどくそっけない態度で返事をする。

「はい」

「こんにちは岡嶋です」

だがすべてを言い切る前に美智代が言葉をかぶせてくる。

「お帰りください!」

「待ってください、

武彦君に会わせてください!」

そう言った岡嶋であったが、

その時には既にインターホンを切られていた。


仕方なくもう一度インターホンを押す岡嶋。


「何ですか?

帰って下さいと言ったはずですけど!」

そう返って来た返事は明らかに怒っていた。

「会わせてくれるまで帰りません、

何時まででも待ってます!」

そう言った岡嶋であったが、

その後すぐに美智代はインターホンを切ってしまった。


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