シグナル
カーティスのこの一言に、
この時再び悲しみがこみあげて来たニックの口から、
思わずこんな言葉が漏れてしまった。
「他になんか無いんですか?」
「ん?なんだね…」
余りの声の小ささに、
聞き返してしまったカーティスに対し、
続けざまに今度は、
激しい口調で責めたてる。
「彼方は僕の様な者が意見できる方ではありません…
でも今回だけは言わせて下さい!
彼方の言葉には気持ちがこもってないんですよ!
僕達の大切な仲間が死んだんです!
なのにそれだけですか?
僕達は残念の一言で済む様な存在でしかないんですか?」
更に怒りを露わにしたニックは、
カーティスに激しく詰め寄るが、
突然のニックの行動に驚いたテリーが、
慌てて止めに入る。
「やめないかニック、
今更こんな事を言っても仕方ないだろ!
お前はリックの事を兄の様に慕っていたからな、
無理もないだろう…
悔しいのも分かる…
でもこれは戦争なんだ!
みんな死と隣り合わせの所で戦っているんだよ、
リックだってそんな事分かっていて死んでいったはずだ!
お前だってそうじゃないのか?」
必死になだめるテリーの言葉に、
我に返ったニックは、
徐々に冷静さを取り戻していく。