シグナル
ケビンは銃を武彦に手渡すと、
村の壁面ギリギリに人型の的を立て、
指示を出した。
「あの的めがけて撃ってみろ、
取り敢えずそれからだ」
「でも無駄弾は撃つなってテリーが…」
「ばか、練習は別だ!」
一度戦場を体験し、
恐怖を覚えた武彦は、
銃を撃つことに弱腰になっていた。
「さぁ撃ってみろ!」
「はい!」
銃を的に向け、
恐る恐る引き金に指をかける。
だが引き金が引けない、
すると隣から怒鳴り声が飛んできた。
「バカ何やってる、
ロックを外すように言われただろ!
戦場だったら死んでもおかしくないぞ!
もう一回やってみろ」
「はい!」
ロックを外し、
再び引き金に指をかける。
そして引き金を引いた次の瞬間、
辺り一帯に銃声がとどろいた。
だが確かに弾は撃ったが、
反動で武彦の体は後ろに飛ばされていた。
「もっと腰を落として!
もう一回、
良いと言うまでやって貰うぞ!」