シグナル
「私もその事については考えました。
でも今は落ち着いていますが、
ここまで来る間にもかなり暴れていたらしく、
もしもう一度暴れても、
対応しやすいようにと思ったもので…
ですがうちの署を含め、
多くの警察署では、
この様な少年であっても、
一時的な拘留場所として警察の留置場を代用しています。
私も最初はそう考えたのですが、
さすがに十二歳の少年となると、
留置場に入れる訳にもいかず、
それならまだ取調室の方がましかな?
とは思ったんですけど…」
「でも取調室とはなぁ…
別に取り調べをする訳じゃないだろ!
結局は密室の空間に身を置く事になるんだから同じ事じゃないか?
だいいちわずか十二歳の少年があの狭い空間に入れられて、
精神的に耐えられるかが問題だろ!
それならまだ応接室の方がマシじゃないか?
あそこならガラス張りになっているから、
ブラインドを上げてしまえば圧迫感を与える事もないだろう…」
「そうですね…分かりました、
ではそうします!」
その後青木は児童相談所に通告し、
武彦の身柄を取調室から応接室へと移すと、
保護者に連絡する為、
電話番号を尋ねる。