シグナル

「安藤さんちょっといいですか?」

「あぁ…なんだ?」

「親御さんに連絡しなければと思い、

電話番号を聞いたのですが、

意味の分からない事を口走って、

聞き出す事が出来なかったんです。

武彦君て名前だけはすぐに教えてくれたんですが、

それ以外は何ひとつ教えてくれなくて…

なのでさっき電話番号だけでもと思い聞いたんですが、

【この世界に電話があるの?】

って言われてしまって、

本当にわけが分かりません!

この世界って何ですか?」

「俺に聞くなよ…

分かるわけ無いだろ!」

「そうですよね、

すみません、つい…」

「でもどうしたら良いものかな?」

「そうですね…

最初は親に来て欲しくない為に、

嘘をついているのかと思ったんですが、

どうやらそうでもないらしくて…

ですが名前だけでは連絡のしようがありません!」

「自分の事なのに知らないなどと言う事があるのか?

けど困ったな、

まさか記憶喪失と言う事はなかろうな…」

「それはないと思います!

名前はしっかり覚えていましたから…

それよりも彼が言っていた意味不明な言葉なんですが、

それが私にはどうしても引っかかってならないんです!」

「意味の分からない言葉か…

それはどんな言葉なんだ?」

「私が名前を聞いた時、

武彦という名前はすぐに教えてくれたんですが、

それだけでは分からないので名字を聞いたんです…

ですが名前しかないと言うんですよ、

名字など無いと…

あと連絡先を聞こうとした時には、

この世界には電話など無いと、

まるで彼一人だけ別世界にいるかの様に」

「どう言う事なんだ?」

「まさか薬物中毒という事は…

最近はこういったものも低年齢化が進んでいますし…」

青木の発言に対し、

安藤は困惑しながらも、

念のためと思い指示を出す。

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