シグナル
一方富士見署では、
防災無線での放送が手配された時、
同時に児童相談所へも通告され、
職員が富士見署に向かっていた。
更に職員が到着するまでの間、
一度は打ち切られた事情聴取が、
安藤の手により再開されていた。
実は安藤には大切な一人息子がいたのだが、
その息子は既にこの世には居なかった。
仕事の為に幾度となく家庭を犠牲にしてきた安藤は、
息子の異変に気付かずにいた。
この頃の安藤は、
仕事を理由に家庭でのコミュニケーションをおろそかにしていた為、
彼の息子は中学生になる頃から家に寄り付かなくなってしまった。
その為に悪い友人とつき合い始めた息子は、
隠れてタバコやシンナーを吸う様になってしまい、
その事に気付いた妻は、
必死にやめさせようとしたのだが、
一向にやめる気配はなく、
息子の態度はますます悪くなる一方であった。