シグナル
最終章『障害からの脱却』
その日の午後武彦は、
身柄はそのままに家裁へと送致され、
最長四週間の観護措置に付す事となった。
その後家裁から坂口と森下、
二人の調査官が鑑別所を訪れ、
武彦に対する調査が開始された。
まず始めに口を開いたのは森下であった。
「坂田武彦君だね?
まず年齢から聞こうか…
歳は幾つ?」
怯える小さな声で応える。
「十二歳…」
「住所は何処かな?」
「住所?
そんなものこの世界にはないじゃない!」
「この世界ってどう言う事?」
武彦の発言に疑問を感じた坂口の口から、
思わずこんな言葉が出てしまった。