シグナル
その後森下は調書に目を配ると、
事件を起こすまでに至った動機を尋ねる。
「君は町で暴れたそうだね…
何故そんな事をしたんだね?」
「何故って…敵を倒さなければ、
こっちが殺られてしまうじゃない!」
「どうして殺されてしまうの?」
驚きの表情で尋ねる坂口。
「戦争だからに決まってるじゃない!
戦わなかったら、
こっちが殺されてしまうよ!」
『何それ!戦争ってどういう事だ?』
心の中でそう呟いた坂口は、
一体どうなっているのか、
頭の中がパニックになってしまった。
武彦は更に続ける。
「それよりここどこなの?
これから僕どうなるの?
捕虜としてずっとここにいるの?
それとも殺されてしまうの?
お願い殺さないで!
命だけは助けて!」
涙を流しながら訴える武彦に対し、
坂口の隣で聞いていた森下が、
この訴えに応えようとしていた。