シグナル

武彦が逮捕されて四日目、

この日初めて、

鑑別所に武彦の両親が面会にやってきた。


面会室へとやって来た両親は、

悲痛な面持ちで武彦が来るのを待っている。


その後武彦が部屋へとやってくると、

両親は精一杯の笑顔を見せ、

武彦と会話を始める。


この時まで待ちきれずにいた美智代は、

武彦の姿を確認すると、

すぐに声を掛けたのだった。


「元気にしているの?

ご飯はちゃんと食べてる?」

美智代の必死の問いかけにも、

武彦からの返答は帰ってこず、

ただ首を縦に振り、

頷くだけであった。


「どうしたの?

何か喋って、お願い武彦!」

その後美智代の傍らで終始俯いていた武雄が、

ようやく口を開いた。


「とにかく元気そうで何よりだ!

お前の事は井上に任せてある、

彼なら何とかしてくれるだろう…

もう暫くの辛抱だ!

必ず助けてやるからな」

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