シグナル
「僕たちは今戦っているんじゃない!」
「誰と戦っているの?」
「誰って…あなた達とでしょ、
だから僕の事を捕まえて、
こんな所まで連れて来たんじゃないの?
こんな所まで連れて来てどうするの!
この前の人は殺さないって言ったけど、
本当に僕の事殺さない?」
「大丈夫!私は貴方の敵じゃないから…
むしろ味方になりたいんだ、
だから安心して…
それより誰と戦っているのかな?」
「それ、この前も聞かれたよ!」
「ごめんね…もう一度聞かせてくれる?」
「やだよ!どうして何度も同じ事を言わなければいけないの?」
「お願い応えてくれるかな?」
渋々問い掛けに応える武彦。
「テリー達だよ!」
「テリーと、他には誰がいたのかな?」
「他にはライエル…
それからリックとケビン、
あとケイとニック、
他にも大勢の仲間達がいたよ」
「何のために戦っているの?
相手はどんな人たちなのかな?」
小嶺が詳しい話を尋ねようとするが、
突然武彦がパニックに陥ってしまった。
「あれ?何の為に戦っていたんだっけ?
分からない、ここ何処?
僕どうしてこんな所にいるの?」
この時の武彦は、
仮想空間から現実世界へと、
意識が戻り始めたところであり、
彼の意識はかなり混乱していた。
小嶺は仕方なく、
武彦への質問を一時中断し、
次に様々な心理テストを行い、
これを終えるとその日は終了とした。