シグナル
「彼は私立中学に通っているそうですが、
その様な所に合格するには、
受験勉強も大変ではないですか?
いつ頃からこの様な勉強を始めたのでしょうか?」
「小学校受験に失敗したので、
すぐに一年生の頃から始めました!」
「そんなに早くからですか?
それでは小学校に入学する以前は、
どの様な生活をしていましたか?」
「昼間はお受験に有利だと言われている有名幼稚園に通わせ、
それが終わると塾に通わせていました…」
「では塾から帰ってきた後の事を聞かせて下さい」
「もちろん勉強です、
他の子に負ける訳にいきませんから!」
「では遊びの時間はいつ作られるのです?」
「きちんと勉強の合間に休憩時間を設けてあります!」
「設けてあると言っても、
それだけでは僅かな時間じゃないですか、
それに今聞いた限りでは、
外で遊ぶ時間がないようですが…」
「それは武彦が幼稚園から帰った後、
塾に行くまで少し時間が空くので、
その時近所の公園で遊ばせていました…」
「それはどの位の時間ですか?」
「十五分か…二十分か…
その位だったと思います!」
「たったそれだけですか?
それでは遊んだうちに入らないじゃないですか!」
この意見に対し美智代が反論する。