シグナル
次と言うのは中学受験の事である。
武彦は現在小学五年生、
父、坂田武雄は、
この辺りでは超有名とされる、
大手予備校の講師、
母、美智代は、
専業主婦をしている。
元々子供があまり好きでなかった武雄は、
我が子を愛する事が出来ないでいた。
その為我が子にどう接したら良いのか分からず、
武彦の事を母親である美智代に任せきりにしている。
そして美智代も、
【我が子の将来の為…】と言いながら、
有名私立小学校を受験させていた。
しかしそれも失敗し、
今では地元の公立小学校に通っている。
だからこそ、
【今度の中学受験は合格しなければ…】
そう思っていた。
同様に父親である武雄も、
【自分が予備校の講師をしているのに、
その息子が公立の学校に行くなど、
許される事ではない!】
その様に思っていたのだ。