シグナル
我が子が私立に落ち、
今では公立の小学校に通っている、
その事だけで隣近所に対し、
恥ずかしいとさえ思っていた。
更に母親のもう一つの気持ちとして、
やはり父親と同様、
隣近所への見栄の為に、
今度こそは合格して欲しいと思っていた。
武彦は両親がそんな事を考えている事とは知らずに、
両親の期待に応えようと、
ただひたすら勉強に励んでいた。
武彦はペンを置き、
椅子から立ち上がり、
一度全身を大きく伸ばし体をほぐすと、
ガラステーブルへと向かい、
べッドにもたれ掛かるようにして座り、
器を手に取りうどんを食べ始めた。
この時、
時計の針は十一時をまわっている、
そして日付が変わる頃眠りにつく。