シグナル
この時既にプレッシャー等によるストレスの為現実逃避していた武彦は、
部屋にこもりゲームを楽しんでいたのだが、
現実から逃げたいとの思いから、
次第にゲームという仮想の世界と今自分がいる現実の世界との区別がつかなくなってしまっていた。
そしてこの頃になると、
ようやく美智代がこのままではいけないとの思いから何とかしなければと考え始めていた。
だが父親である武雄は依然武彦に対して無関心であり、
その為顔を合わせる度に両親が喧嘩をするようになってしまった。
原因はもちろん武彦の事であったが、
四六時中部屋にこもりゲームにあけくれていた武彦には両親が喧嘩をしている事に気付く暇などなかった。
そしてこの頃、
武雄にもようやく武彦を何とかしたいとの思いが芽生え始めたのだが、
その理由はそれぞれ違っていた。
美智代は純粋に助けたいとの想いからであったが、
それに対し武雄は隣近所への体裁を気にしての事であったのだ。