シグナル
だが授業の方はというと、
教室には居るのだが、
授業は聞かずに一人一年以上先の勉強をしており、
更に休み時間さえも机に向かっている。
そして学校から帰ると週五日の塾通いが待っており、
九時に塾が終わると寄り道もせずまっすぐ家に帰り、
両親と三人で夕食を食べる。
夕食を食べ終えた武彦は風呂に入り、
スッキリしてから机に向かう。
もちろん塾の無い日もずっと部屋で勉強をしており、
テレビなど見る暇も無く、
翌日の学校でテレビの話題等にものらず、
自らかやの外に居る、
そんな日々を送っている。
その為に学校での武彦は、
クラスメイトからは良く思われてなく、
一人孤独な日々を送っていた。
確かに武彦は勉強の出来る子ではあるが、
勉強ばかりの生活をしてきた為に人と接する機会が極端に少なく、
その為人との接し方を知らない子に育ってしまっていた。
担任の女性教師である武田もこの事を危惧しており、
以前教頭である小松崎に相談していた。
この武田教諭は教師になって初めて担任を持った若い教師なので無理もないだろう。